2007.06.06 Wednesday
日経新聞から【円、外為市場で最安値水準】
2007年6月6日の日経新聞朝刊5面から。
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外国為替市場で円が全面安の展開になっている。対ユーロでは連日史上最安値を更新し、主要通貨に対する総合的な円の価値を示す実質実効為替レートは一九八五年九月のプラザ合意時の水準まで下落した。日銀の利上げ観測で円金利は上がっているが、米欧など海外金利も上昇基調のため日本との金利差が縮まらず、円を売って高金利通貨を買う動きが続いている。
(中略)
■対ユーロで最安値
通常は金利上昇は円高材料になることが多いが、最近は「金利高・円安」が共存している。五日の東京市場では、円は対ユーロで一時一ユーロ=一六四円六二銭をつけ、九九年のユーロ導入以来の最安値を二日連続で更新。対英ポンド、オーストラリアドルでは十五年ぶり、対ニュージーランドドルでも十七年ぶりの安値をつけた。
日銀の調べによる円の実質実効為替レート(七三年三月=一〇〇)は五月(月中平均)は九四・九となり、前月比一・七ポイント下落した。これは日米欧がドル高是正で協調したプラザ合意のあった八五年九月(九四・八)にほぼ並ぶ円安水準だ。
(中略)
■個人も円売り圧力
世界の株高も円安要因だ。株高で投資余力を増した投資家が、低金利で借りた円を高金利通貨などに投資する円借り(円キャリー)取引を続けている。日本の個人の外貨建て投資信託の購入も円売り圧力になっている。
ただ歴史的な円安水準にある相場のいきすぎに警戒感もある。五日には福井俊彦日銀総裁も、円キャリー取引の逆戻しなどに警戒感を示した。
(後略)
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この報道からわかることは、単純に考えて「円」で稼いでいる法人や個人が、欧米にその「円」をもって出て行くと、購買力として1985年水準のものしかもっていないということ。また、最近よく言われている食糧輸入についてのパワーも20年以上前に低下しているということだろう。つまり、大不況の時代(実感あり)とは言え海外での円の価値がまぁまぁあった時期から、なんとなく景気は良くなったそうだが(実感なし)海外に出ると円の価値がぐっと下がってきているということ。国内で円建てで生産した財を輸出する際には価格競争力が高まるが、輸出に関わらない主体にとっては困った流れである。
円安の論理的な要因としては、通貨の一つの価値である「長期金利」が長い間続けてきたゼロ金利を解除してもいまだに諸外国と比較して圧倒的に低いことがあげられる。
例えば一ドル=120円として、100ドルの金の延べ棒を持っていたとする。この金の延べ棒を、10年経てば6パーセントの金利がつくドルと10年経っても1パーセントの金利しかつかない円とどちらに換えたいかと問われれば、他のリスク要因を除けばドルにするであろう。
報道を見ていてすごく気になるのは「円キャリートレード」を行っている悪者がいるかのような指摘である。実際には、資本主義の原則に従って経済活動の参加者が金利の高い通貨を求めているだけなのではないか。それは、個人にも当てはまるだろう。
「政府の圧力を受けて利上げを見送ってしまう中央銀行(2007年1月18日)」が国際的な信頼を下げ、
「2007年の団塊の世代の引退」で大量の老後資金が運用に周り、
「オンライントレード」による投資信託や外貨取引がここ10年ほどで一般人にもぐっと広まってきたこのご時勢を考えれば、
「日銀総裁」が「警戒感」を示したからといって円安の歯止めにはならないだろう。
社会保険庁の年金問題が叫ばれているが、この問題で支給漏れを支払いさまざまな調査でまたコストがかさんでいる場合ではない。
国際社会で信頼を失い、行き着くところまでいくとローカル通貨「円」は誰も買わなくなる。
日本は米国債を大量に買っている国だから大丈夫だろうという話も聞くが、過去の世界大戦を見ても弱肉強食のビジネスの世界でも、究極のところ「金貸し」に味方するものはいないのである。
円安が進みすぎてある日突然「円」がジャンクになることも空想話ではなくなるかもしれない。日本で二度目の預金封鎖が行われる日が来ないことを願ってやまない。
▼今日の推薦書籍
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外国為替市場で円が全面安の展開になっている。対ユーロでは連日史上最安値を更新し、主要通貨に対する総合的な円の価値を示す実質実効為替レートは一九八五年九月のプラザ合意時の水準まで下落した。日銀の利上げ観測で円金利は上がっているが、米欧など海外金利も上昇基調のため日本との金利差が縮まらず、円を売って高金利通貨を買う動きが続いている。
(中略)
■対ユーロで最安値
通常は金利上昇は円高材料になることが多いが、最近は「金利高・円安」が共存している。五日の東京市場では、円は対ユーロで一時一ユーロ=一六四円六二銭をつけ、九九年のユーロ導入以来の最安値を二日連続で更新。対英ポンド、オーストラリアドルでは十五年ぶり、対ニュージーランドドルでも十七年ぶりの安値をつけた。
日銀の調べによる円の実質実効為替レート(七三年三月=一〇〇)は五月(月中平均)は九四・九となり、前月比一・七ポイント下落した。これは日米欧がドル高是正で協調したプラザ合意のあった八五年九月(九四・八)にほぼ並ぶ円安水準だ。
(中略)
■個人も円売り圧力
世界の株高も円安要因だ。株高で投資余力を増した投資家が、低金利で借りた円を高金利通貨などに投資する円借り(円キャリー)取引を続けている。日本の個人の外貨建て投資信託の購入も円売り圧力になっている。
ただ歴史的な円安水準にある相場のいきすぎに警戒感もある。五日には福井俊彦日銀総裁も、円キャリー取引の逆戻しなどに警戒感を示した。
(後略)
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この報道からわかることは、単純に考えて「円」で稼いでいる法人や個人が、欧米にその「円」をもって出て行くと、購買力として1985年水準のものしかもっていないということ。また、最近よく言われている食糧輸入についてのパワーも20年以上前に低下しているということだろう。つまり、大不況の時代(実感あり)とは言え海外での円の価値がまぁまぁあった時期から、なんとなく景気は良くなったそうだが(実感なし)海外に出ると円の価値がぐっと下がってきているということ。国内で円建てで生産した財を輸出する際には価格競争力が高まるが、輸出に関わらない主体にとっては困った流れである。
円安の論理的な要因としては、通貨の一つの価値である「長期金利」が長い間続けてきたゼロ金利を解除してもいまだに諸外国と比較して圧倒的に低いことがあげられる。
例えば一ドル=120円として、100ドルの金の延べ棒を持っていたとする。この金の延べ棒を、10年経てば6パーセントの金利がつくドルと10年経っても1パーセントの金利しかつかない円とどちらに換えたいかと問われれば、他のリスク要因を除けばドルにするであろう。
報道を見ていてすごく気になるのは「円キャリートレード」を行っている悪者がいるかのような指摘である。実際には、資本主義の原則に従って経済活動の参加者が金利の高い通貨を求めているだけなのではないか。それは、個人にも当てはまるだろう。
「政府の圧力を受けて利上げを見送ってしまう中央銀行(2007年1月18日)」が国際的な信頼を下げ、
「2007年の団塊の世代の引退」で大量の老後資金が運用に周り、
「オンライントレード」による投資信託や外貨取引がここ10年ほどで一般人にもぐっと広まってきたこのご時勢を考えれば、
「日銀総裁」が「警戒感」を示したからといって円安の歯止めにはならないだろう。
社会保険庁の年金問題が叫ばれているが、この問題で支給漏れを支払いさまざまな調査でまたコストがかさんでいる場合ではない。
国際社会で信頼を失い、行き着くところまでいくとローカル通貨「円」は誰も買わなくなる。
日本は米国債を大量に買っている国だから大丈夫だろうという話も聞くが、過去の世界大戦を見ても弱肉強食のビジネスの世界でも、究極のところ「金貸し」に味方するものはいないのである。
円安が進みすぎてある日突然「円」がジャンクになることも空想話ではなくなるかもしれない。日本で二度目の預金封鎖が行われる日が来ないことを願ってやまない。
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