2009.08.21 Friday

「lifetime commitment」

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    日本的経営モデルを分析した経営学者。終戦後、アメリカ戦略爆撃調査団の一員として来日。シカゴ大学にて人類学と臨床心理学の博士号を取得後、再来日し日本各地の工場を視察、『日本の経営』を著しベストセラーとなった。その後コンサルティング業界へ転じ、ボストン・コンサルティング・グループの設立に参加。1982年からは日本に住みつづけ、上智大学でも教鞭を執った。

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    「終身雇用」という言葉は経営学者アベグレンの著書『日本の経営』(1958年)の中で最初に登場した。訳者は、私の師匠、占部都美教授(元神戸大学教授)である。彼は「lifetime commitment」を「終身雇用」と訳したが、現在、この訳語が一人歩きしている。

    アベグレンは、日本的経営の特徴の一つとして「lifetime commitment」を挙げた。そこで彼が強調したのは、雇用期間が長いか短いかではなく、企業と従業員の終身における「心理的契約」であった。法的な効力はないものの、一旦雇用関係を結んだ以上は原則として定年まで雇用関係を続ける、という企業と従業員の書かれざる契約であり、この心理的契約があるがゆえ、従業員は忠誠心を持って働くのだと説いたのである。最近の「派遣切り」批判は、「lifetime commitment」の雇用期間の部分のみが日本企業に根付いた結果だといえよう。

    「派遣切り」は非正規社員の解雇による雇用調整だが、雇用調整自体は以前から存在した。高度経済成長期に調整の役割を担ったのは女性である。典型は繊維産業であろう。当時の繊維産業では、経常利益率が2%を割ると工場で働く女性労働者の採用をやめていた。女性労働者は働き始めて数年で結婚退職するのが一般的だったので、採用をやめると、自然に従業員数は減っていった。しかし、雇用機会均等化以降、雇用調整の役割は非正規社員へと移っていった。

    雇用調整の方策は各国で異なる。正社員の解雇で雇用調整を行う米国に対し、正社員を解雇しづらい日本や欧州の大部分では、非正規社員が雇用調整の役割を担っている。どちらの方法も一長一短があり、正社員の終身雇用を維持するために、非正規社員を雇用調整に利用する日本の方法にも一定の理屈はある。

    終身雇用を支えているのは年功制度である。年功制度が企業にもたらすメリットは2つある。1つは総体的に人件費を抑えられること。若く実力ある社員に対し、将来の継続的な雇用や賃金アップを約束する代わりに現状の賃金を安く抑えるという仕組みだ。もう1つのメリットは、技術の継承がスムーズに行われることである。年長社員は雇用の継続が保証されることによって、安心して若手社員に自分の技術を継承できるようになる。成果主義的な賃金体系であれば、技術を継承した有能な若手社員が自分に取って代わる労働力となりうるため、年長社員は技術継承に消極的になるだろう。

    強調したのは、雇用期間が長いか短いかではなく、企業と従業員の終身における「心理的契約」であった。

    神戸大学大学院経営学研究科教授 加護野忠男 構成=プレジデント編集部

    キーワード: 人事・人材・雇用 President Lecture 経済・金融 Size:
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    すべての仕事関係者を「仲間」とする日本の企業文化が年功制度を基盤に持つ終身雇用を継続させてきた。従業員を「敵」とみなす米国型の労働観は、日本には馴染まない。日本では今後も正社員の終身雇用が続くことが理想だと考えている。

    しかし、終身雇用にも弱点がある。それは長期雇用で従業員の平均年齢が上昇し、それに伴い固定費が増加することだ。従業員が高齢化すれば、組織の活気も失われることになりかねない。従って終身雇用維持のために、数十年に一度、若返りをはかる必要がある。50代以上の社員に退職後の生活保証を与えることを条件として人員整理を行い、若手社員へ権限を委譲するというのも1つの方法だ。

    人員整理は終身雇用に反し、組織が沈滞するのではないか、という懸念もあろう。しかし、2001年の松下電器産業(現パナソニック)の例を見れば、その懸念は払拭される。当時、同社では大量の希望退職者が出たが、私のゼミ生が関係者にヒアリングを行ったところ、会社の雰囲気は悪くなっていなかった。退職者はその後、十分な生活保証を与えられ、若手社員たちは権限を委譲されたために、いきいきと働いていたのである。

    現在は100年に一度の危機とされる。非正規社員の解雇による小幅な雇用調整では対応できないかもしれぬ。危機を逆手に取り、思い切った若返りを図るところが出てくるかもしれない。それが将来の終身雇用の維持・強化にも繋がるだろう。
    2009.03.27 Friday

    「09年度予算が成立 一般会計総額88兆5480億円」

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      こりゃ、高すぎだろー。
      こんなにも予算規模膨らませてしまって、行き着く先はハンドリングできなくなった国家予算の破綻としか思えないのだが・・・。

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      2009年度予算が27日夕、成立した。参院は同日午後の本会議で、野党の反対多数で否決。衆院の議決と異なるため両院協議会を開いたが不調に終わり、同日夕の衆院本会議で河野洋平衆院議長が、憲法の衆院優越規定に基づき衆院の議決が国会の議決になったと宣告した。
       予算は一般会計総額が88兆5480億円。うち政策的経費である一般歳出が51兆7310億円でいずれも過去最大。総額5000億円規模の雇用対策などを盛り込んだ。 (17:38)
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      2009.01.21 Wednesday

      オバマ米国大統領就任演説

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        今日はなんと言っても、このオバマ大統領就任宣誓と就任演説に尽きる。

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        米国の第44代大統領にバラク・オバマ氏(47)が20日正午(日本時間21日午前2時)、就任する。イラク戦争が長期化し、歴史的な景気後退が深刻化する中、1776年の建国以来初の黒人大統領となるオバマ氏は米国再生の責務を担い、危機克服に向け米国民に「変革」と団結を訴える。最優先課題は経済再生で、8000億ドル(約72兆円)規模に上る景気対策法案の早期成立に全力をあげる。
         冷戦終結後、政治・経済の両面で国際社会を主導してきた米国の求心力回復に挑むオバマ氏は、金融危機に端を発して大恐慌以来といわれるまでに深刻化した経済低迷の打開など直ちに大きな試練に直面する。就任式に絡んでは、建国の歴史を意識した演出で国内の結束を促す姿勢を前面に出す。
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        深夜2時からのスタートだったが、夜のニュースの報道を経て盛り上がった気分そのままにしばし中継を見てしまった。

        過大に期待しても何も出てこないかもしれないが、今の時代、この状況下でこれ以上ないくらいのスターが誕生したと思う。いかなるハリウッド映画もかなわないくらいの危機的状況下での初の黒人かつ移民の血を引く若く優秀な大統領の就任。これほどの物語は、100年に一回くらいの舞台設定といっても過言ではない気がする。

        金融危機は単にきっかけに過ぎないのではないか。すでに取り返しのつかない状況になりつつある環境問題(不都合な真実など)、日本も追従してしまいそうな医療費問題、高齢化社会での問題、資本主義の疲弊、延々と続く地域紛争、などなど深刻な問題は数多くある。これらに対抗していく本当の21世紀はこれから始るのだと思う。

        2008.12.03 Wednesday

        「歩けば発電する「発電床」、改良型をJR東京駅で実験」について

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          12月3日の記事で前から気になっている東京駅での発電床の話が出ていた。

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          JR東日本は12月10日から、「発電床」の改良版を使った実証実験をJR東京駅で2カ月間にわたって行う。乗降客が歩くことで発電し、将来は自動改札機や電光表示器などへの利用を目指す。

           独立行政法人の新エネルギー・産業技術総合開発機構とJR東日本コンサルタンツと共同で2006年から開発を進め、実験を続けてきた。人が歩くことで床に加わる振動エネルギーを、床に組み込んだ圧電素子によって電圧に変換し、発電する仕組みだ。

           実証実験は同駅は八重洲北口の改札と改札内階段に設置(面積約25平方メートル)して行う。今回は圧電素子の形状や圧力を伝える機構を改良したほか、前回はゴムだった表面を石材のタイルに変更し、歩きやすさを向上させたという。

           今年1〜3月に実施した実験では、改札を1人通過するごとの発電量は約1ワット秒。今回は10倍の約10ワット秒に引き上げ、試験終了時の発電量も開始時から9割程度までに持続させるのが目標。1日当たりの総発電量は1400キロワット秒を見込み、これはLED照明を約17時間点灯できる電力量に相当するとしている。
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          通勤先の東京駅で最初にこの床を見つけたときには何だろうと思いながら、周りを見回して発電量を示す掲示板を見つけてすぐに納得。これは乗降客の移動を利用した発電なのだと。

          なるほど日本で有数の乗降客数を誇る東京駅の人間の移動を電力に買えられることが出来ればそれなりの電力にはなるだろうが、構造からしてなんとも素晴らしい。人が歩くたびに発電し、その電力で自動改札機を動かしていたりすればなんとも持続可能社会のモデルのような物ではないだろうか。

          石油などの化石燃料が持続不可能な一方通行なエネルギー社会であるのに対して、何十年も前から次世代エネルギーが研究されているが、これは画期的ではなかろうか。

          是非とも日本のメーカーから世界にこのような発電床を輸出して持続可能社会に貢献してもらいたいものだ。
          2008.06.24 Tuesday

          排出権取引の欺瞞

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            排出権取引という仕組みは、よくよく考えてみると非常にゆがんだ仕組みで本来の目的を達成する方向に向かっていないと思われる。

            なぜなら、排出権をお金で買うことでCO2を削減出来ない企業がCO2削減できている企業から「排出権」を購入するのだが、地球にとってのCO2処理能力(人類が快適に生存できる範囲内での)には限界があるにも係らず、マクロで見た「お金」というものは無限に発行できてしまうのである。というのも、ドルの金兌換停止後、世界のお金は政府の保証しかない無限の財となってしまったからである。

            例えるならば、地球からゴミを減らそうという目的のため、ゴミを処理できる山や池の持ち主からゴミを捨てたい人に、「ゴミ排出権」を売ったとして、ゴミを出す人がいつまでもお金を発行し続けていれば、ゴミは一向に減らず、ゴミだけが増えていき、やがて処理できる場所に限界が来てしまう。

            つまり、排出権取引はCO2削減には本質的な解決策にはならないのである。まったくもって欺瞞であり腹立たしい。

            こういった新たな金融商品を編み出し、その取引手数料や運用益を貪る金融機関や国家が居る限りは地球温暖化は止まらないだろう。
            2008.05.12 Monday

            資本主義の功罪「価値と価格について」

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              昨今、巷では持続可能な社会に転換しようという一大テーマが先進国を中心に叫ばれている。

              この持続可能社会から乖離してきた最大かつ根本的な理由は、「資本主義」という手法を誤った方向に用いてしまったからだと思う。

              これは、「価値」と「価格(資本による表現)」の違いから生じている。「持続可能」かどうかをまったく考慮しないままコスト&利益ベースの価格を算定して、それを取引しているため、持続可能な社会からはひぢ離れていってしまっている。しかも、市場経済効率化至上主義といった考え方によって、これはますます加速されている。

              資本主義も市場経済もある面では人類の生活を豊かにしてきたが、それは地球環境に対してのルールなしの状態で成立してきたことであり、いざ豊かさの追求が度を越えてくると、対応できなくなってくる。

              例えば、山野の価値は人々が必要とする食料や資源や空気や水を生み出す非常に価値の高いものであり、市街地はそれだけでは食料も水も空気も生み出さない土地であるにもかかわらず、価格というものはまったく逆に山野<市街地となっている。そうすると、高い価格で低い価格の財が取引されることになり、高い価値の財が低い価値の財に奪われてしまう。

              もう一つ例えると、原油は人類では再生産できない非常に価値の高いものであるにもかかわらず、土地や人件費や利益だけを乗せたコストベースの価格で取引されている。本来の価値をないがしろにした価格(資本)資本主義経済の効率化だけでは持続可能な社会が実現できない根本的な理由がそこにある。

              排出権取引といった市場メカニズムを取り入れても、結局は価値算定に持続可能性(再生するためのコスト)を織り込んでいない限りは人類の未来は明るくないと思われる。

              インターネットやコンピュータや大量データ処理というツールを人類が手にできたのだから、選挙や民主主義やいろんなことがこれまでの時代と違った次元で実現できる可能性が出てきている。この先50年くらいは人類の英知が試されるときとなるだろう。
              2008.05.07 Wednesday

              バイオ燃料による食料品価格とガソリンの価格の上昇について

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                この文章を書いているのも見ていただいているのもパソコンであるから、電力を消費しているのであるが、そのエネルギーの元となるのはほぼ原油となっている。この原油価格が上昇しているのは周知の通りである。

                しかし、実はこの価格はこれでも安いほうなのである。なぜなら通常農作物を生産するときなどは大きく見てその生産を持続可能とするための土壌の改善費用なども生産価格に上乗せされているが、石油の場合人間が消費するスピード以上のスピードで生産する技術はない。つまり、持続可能とする価格はのっておらず、あくまで採掘の段階から流通の段階の業者のコストと利益だけをのせている価格なのである。

                かといって、農産物から生産する植物を原料とするバイオ燃料に進んでしまうと、食料危機が訪れるのは明白である。アメリカは国策として進めているが。

                ここで、食料の自給率も低く資源も乏しい日本だからこそ、25円の暫定税率アップではなく、いっそ50円ぐらいの新エネルギー税を課し、国策として太陽エネルギーの開発に取り組んだらどうだろうか。太陽エネルギーの活用法を他国が追随できないくらい一点集中して技術開発し、太陽エネルギー関連産業を生み出すぐらいに動いたらどうだろうか。

                しばらくはあらゆる国民生活に多大な影響が出るだろうが、このままいっても日本という国は、明治維新や第二次世界大戦後のような政府がひっくり返るような事態がなければ税金は上がる。当然、石油燃料は高騰するし、食料不足による国家の危機は回避されない。

                国民も増税されても使途が明白で、長期的に持続可能なクリーンエネルギーを産み出す政策には賛成するのではないだろうか。もちろん、その執行には汚職の陰がつきまとうだろうが。

                持論としては、地球よりも寿命が長い太陽からエネルギーを採る技術を開発することが人類のエネルギー問題解消の根本的な解決策になると思っている。そしてそれは日本が日本以外の国に遅れてはならないと思っている。

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