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2008.10.22 Wednesday

10月22日の注目記事「GM、クライスラー買収の本気度」

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    米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)が米クライスラーを、筆頭株主の米投資ファンド、サーベラス・キャピタル・マネジメントから買収か――。このニュースが漏れると、大方の業界専門家は「正気か?」と考えた。

     クライスラーの自動車販売台数は前年比で30%も落ち込み、深刻な赤字が続いている。主力製品のトラックやSUV(多目的スポーツ車)は市場で苦戦を強いられており、「クライスラー」や「ダッジ」ブランドの乗用車やクロスオーバー車(乗用車をベースにしたSUV)には、ブランドを代表するほどの人気車があまりない。人気ブランドの「ジープ」ですら、SUV販売不振のあおりを受けている。

     だがそうした厳しい状況にあっても、一部のGM経営陣は買収をチャンスととらえている。販売不振に陥っているとはいえ、クライスラーの今年年初来の販売台数は120万台に達し、上半期のEBITDA(利払い前、税引き前、償却前利益)は11億ドル(約1100億円)と発表されている。

     だが同社も認めるように、それでも損失は拡大し、資金の流出は止まらない。通年の決算報告によれば、直近の2006年度の売上高は610億ドル(約6兆1000億円)だった。

    理論上はいいことずくめだが…

     クライスラーの再建が可能だとすれば、売り上げを拡大し、いくつか優れた製品を獲得する一方で、経費削減により利益増大を図る絶好の機会になると、GMの経営陣は考えているのだろう。数百億ドル規模のクライスラーの収益を取り込み、本社の諸経費を削減し、利益の向上を図る――それがGMの目論見だ。

     クライスラー買収は、理屈上では申し分がない(BusinessWeek.comの記事を参照:2008年10月11日「GM Plus Chrysler Equals Survival?」)。GMは事業を拡大し、競合企業が1つ減り、生き残った企業は販売拡大と価格引き上げのチャンスを得られる。

     厄介なのは、GMが期待する採算性を確保するために必要な人員削減を労働組合に認めさせることだ。取締役会や株主に買収のメリットを納得させるには、全米自動車労働組合(UAW)員数千人の解雇や、肥大化したクライスラーのディーラー網の段階的縮小に伴うコストが、利益を圧迫しないという根拠を示さなければならない。あるGM幹部も「取引にリスクはつきもの」と認める。

     クライスラーの事業は縮小されることになるだろう。GMが欲しいのは「ジープ」、ミニバン、ピックアップトラックの「ダッジ・ラム」や、「クライスラー300」などの乗用車だ。中型セダン「クライスラー・セブリング」や「ダッジ・アベンジャー」、あるいは「ダッジ・デュランゴ」などの大型SUVは姿を消すかもしれない。GMの既存車種と購買層が重なるためだ。

    人員削減と工場閉鎖は不可避

     だがこの戦略はここで行き詰まる。一部車種の生産中止は工場の閉鎖や従業員の解雇を意味する。既に労働組合は合併に反対の姿勢を示している。UAWのロン・ゲトルフィンガー委員長は10月14日、デトロイトのラジオ局WWJ‐AMに出演し、「私としては、さらなる雇用削減を招くような合併は目にしたくない」と発言、GMとクライスラーの合併不支持を表明した。

    GMとの合併は、組合にとって容認し難いものだろう。米コンサルティング会社オリバー・ワイマン・グループのパートナー、ロン・ハーバー氏によれば、クライスラーは既に4カ所もの工場閉鎖と人員削減を迫られている。UAWが買収会社による人員削減を黙って見ているようなことはないだろう。

     会社側は早期退職勧奨の受け入れを労組に求めている。現状では、従業員が早期退職を提案されても受諾する義務はないからだ。合併した場合でも、従業員はUAWの協定によって守られる、と米自動車研究センター(CAR、ミシガン州アナーバー)の主席エコノミスト、ショーン・マカリンデン氏は指摘する。

     「UAWが反対するのは、合併により、これ以上組合員を失いたくないからだ」(マカリンデン氏)

     次の点も考慮すべきだ。デトロイト郊外にあるアベンジャーやセブリングの生産工場を閉鎖すると、1400人が解雇される。早期退職勧奨による退職金を1人当たり約10万ドル(約1000万円)とすると、総額1億4000万ドル(約140億円)になる。クライスラーは組合加盟の従業員を3万6000人から2万5000人まで削減する必要があるとマカリンデン氏は見ている。そうすると、早期退職勧奨によるクライスラーまたは買収会社の負担は10億ドル(約1000億円)を超えることになる。

    トラック市場は25%縮小

     GMが欲しいブランドはジープだ。ここ数カ月にわたってクライスラー買収を検討してきた他の企業もそれは同じだ。だがジープブランドの上級SUV「グランドチェロキー」を生産するデトロイト工場の稼働率は75%程度にとどまっている、とハーバー氏は言う。

     海外の自動車メーカーも、長年クライスラーの屋台骨を支えてきたミニバンに注目している。だが、販売不振によりミズーリ州セントルイスにあるミニバン工場は2008年10月末で操業を停止し、カナダ・オンタリオ州ウィンザーの工場に生産を集約する計画だ。

     クライスラーではこのほか、3カ所の工場でダッジ・ラムが生産されている。最新モデルは滑らかなサスペンション性能や荷台の収納ボックスなど、優れた技術と特長を備えている。しかし、今年トラック市場は25%縮小し、ダッジ・ラムの販売台数は前年比30%減と大幅に落ち込んでいる。販売低迷が続けば、ここでも生産縮小あるいは工場閉鎖を余儀なくされる可能性もあるとアナリストは言う。

     クライスラーの業績が上向くことは期待できない。同社の消息筋によると、サーベラスの傘下に入って以来、収益の押し上げが大いに見込まれる新型ダッジ・ラムを除き、新型車はほとんど開発されていない。

     「今の状況は、傾きかけた巨大な船が、沈みかけている別の船に横付けし、互いの船をしっかり繋ごうと提案しているようなもの」と、米自動車コンサルティング会社カーラボのエリック・ノーブル社長は言う。

    成否は不透明

     つまり、一部のGM幹部が期待するような合併のメリットはそうたやすくは得られないということだ。あるGM幹部が匿名を条件に語ったところによると、交渉の成否はサーベラス側が提示する条件にかかっている。GMは、会社を再建できるだけの資金が得られるのであれば考えるが、さもなければいかなる取引もしないという。

     この件についてクライスラー側はコメントを拒否し、複数の自動車メーカーに合弁やその他の提携を打診したとだけ語った。14日時点でサーベラス側からのコメントも得られていない。

     GMが所有する米金融会社GMACフィナンシャル・サービシズ(GMAC)の株式49%と交換に、サーベラスからクライスラー株と現金30億ドル(約3000億円)を取得するという構想もある。

     米JPモルガン・チェース(JPM)の自動車アナリスト、ヒマンシュ・パテル氏によると、GMは210億ドル(約2兆1000億円)の現金を有しているが、この資金は月10億ドル(約1000億円)のペースで流出しているという。構想が実現すれば、GMはこの30億ドルとクライスラーが保有する100億ドル(約1兆円)の現金を取得できる。

     クライスラーとともに現金130億ドル(約1兆3000億円)が手に入るのだ。だが、そうなればなったで、GMはその金額でクライスラーを採算の取れる事業に立て直せることを示し、自社の抱える問題解決にも取り組まなければならない。実に危険な取引だ。
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    うーむ、こりゃなんとも巨大すぎる合併である。

    超巨大老朽鑑がつなぎあっても果たして沈まずにすむのか。

    そもそも労働組合が合併に反対って、反対した暁には国が救ってくれるとでも思っているのだろうか。自分たちの会社がつぶれたら丸ごと路頭に迷うのは判っているのに、反対など出来るのだろうか。このすっかり年老いた産業をいつまでも国が背負っていては国ごと危うくなるというのに。

    ただ、民主党のオバマ大統領が政権を取ると、かつての大きな政府に戻る可能性が高いので救ってしまうかもしれない。が、救った後に人員削減もできず大ヒットも産めないままではどっちみち沈んでしまう。

    今年中には趨勢が判明すると思われるので、世紀の巨大救済or破綻劇を見守っていきたい。
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